DTMで1曲仕上げた、弾き語りのオリジナル曲を録音した、バンドで初めての音源ができた。そうした節目を迎えると、「この曲をSpotifyやApple Musicで聴けるようにしたい」と考える方は多いのではないでしょうか。音楽スクールやレッスンで身につけた力を、作品という形で外に出すのは大きな一歩です。
個人が配信ストアに楽曲を届けるには、配信代行サービス(ディストリビューター)を使います。narasu(ナラス)は、株式会社ローディアムが運営する音楽配信代行サービスで、月額110円(税込)のサブスクプランと、更新料のかからない1回払いきりプランの2つから選べるのが特徴です。
この記事では、narasuの公式サイトの情報をもとに、料金プランの違い、還元率、配信までの流れ、申し込み前の注意点を整理しました。

narasuとは?サービス概要
narasuは、自分で作った楽曲を国内外の音楽配信ストアへまとめて届けられるサービスです。公式サイトでは「世界180カ国以上のリスナーに届く」とうたっており、Spotify、Apple Music、iTunes Store、Amazon Music Unlimited、YouTube Music、LINE MUSIC、AWA、楽天 MUSIC、レコチョク、moraなど、多くのストアが配信先として掲載されています。
| サービス名 | narasu(ナラス) |
|---|---|
| 運営会社 | 株式会社ローディアム(東京都渋谷区) |
| 料金 | サブスクプラン:月額110円(税込) 1回払いきりプラン:シングル2,860円/アルバム5,500円(税込) |
| アカウント登録 | 無料 |
| 還元率 | 音楽配信の収益はプランに関係なく90%(YouTubeマネタイズサービスは80%) |
| 配信開始まで | 最短2日(ストア側の審査状況により遅れる場合あり) |
| 主な配信先 | Spotify、Apple Music、iTunes Store、Amazon Music、YouTube Music、LINE MUSIC、AWA、TikTokなど |
| 支払い方法 | クレジットカード、キャリア決済(auかんたん決済・d払い・ソフトバンクまとめて支払い) |
必要なものは楽曲データとジャケット画像だけで、登録から申請までスマートフォンで進められるように作られています。
narasuの2つのプランを詳しく紹介
narasuのプランは「サブスクプラン」と「1回払いきりプラン」の2種類です。どちらを選んでも、配信ストアの売上の90%が還元される点は共通しています。違いは、料金の払い方と配信できる曲数の考え方です。
サブスクプラン(月額110円・最低契約期間1年)
毎月110円(税込)の定額で配信できるプランです。1アカウントにつき1か月あたり最大15曲まで配信申請が可能で、月に何曲かずつ継続的にリリースしたい方に向いています。もともとは「配信し放題プラン」という名称でしたが、2025年12月8日の配信規定改定で現在の名称と上限に変わりました。料金の110円は据え置きです。
月のカウントは毎月1日から末日までの申請分が対象で、使い切らなかった枠を翌月に持ち越すことはできません。また最低契約期間が1年に設定されており、1年未満で解約すると解約料1,320円(税込)がかかります。
1回払いきりプラン(シングル2,860円・アルバム5,500円)
1リリースごとに1回だけ支払うプランです。シングルは2,860円、アルバムは5,500円(いずれも税込)で、年ごとの更新料はかかりません。サブスクプランのような月15曲の申請上限もなく、アルバムは最大50曲まで登録できます(公式の推奨は23曲程度)。

narasuの料金プラン
2つのプランの料金と条件を表にまとめました。金額はいずれも税込です。
| 項目 | サブスクプラン | 1回払いきりプラン |
|---|---|---|
| 料金 | 月額110円 | シングル2,860円/アルバム5,500円 |
| 更新料 | —(月額課金) | 不要 |
| 配信申請の上限 | 1か月最大15曲 | 上限なし |
| 最低契約期間 | 1年(1年未満の解約は解約料1,320円) | — |
| 還元率(音楽配信) | 90% | 90% |
| 課金のタイミング | 初月は楽曲登録時、2か月目以降は毎月1日 | 楽曲登録時 |
- 複数の配信ストアを選んでも利用料は変わりません
- キャリア決済を選ぶと、別途事務手数料がかかります
- 収益の受け取りは1,000円から。振込手数料として一律330円が差し引かれます
試しに単純計算をしてみると、サブスクプランを1年間続けた場合の利用料は110円×12か月で1,320円です。払いきりプランのシングル1作分(2,860円)より少ないため、年に何作も出す方はサブスクプランのほうが利用料を抑えやすくなります。
narasuのメリット
1. 月額110円から配信を始められる
narasuの一番わかりやすい特徴は、月額110円(税込)という低い月額料金で配信を続けられることです。月々の負担が小さいため、作品を出しながら様子を見る、という進め方がしやすくなります。
2. 払いきりプランなら更新料がかからない
narasuの1回払いきりプランは、1リリースにつき1回支払えば年ごとの更新料は不要です。配信を続けている間の費用を気にしなくてよいので、記念の1曲や、長く聴いてもらいたいアルバムを出すときに向いています。
3. スマホで登録でき、最短2日で配信が始まる
公式サイトでは、アーティスト情報の登録から配信プランの登録まで5ステップで進められると案内されています。スマートフォンだけで手続きできる設計です。配信開始は最短2日とされていますが、ストア側の審査状況によって希望日より遅れることもあるため、日程には余裕を持たせておきましょう。
4. 配信以外のサポート機能を追加料金なしで使える
narasuでは、配信ストアのプレイリストやピックアップ欄で紹介されやすくするための「サブミット」、バンドメンバーや共同制作者へ収益を自動で分けられる「スプリット」を、追加料金なしで利用できます。ストアごとのリンクを1ページにまとめて、閲覧数や地域などのデータも確認できる「LinkMAP」もあります。さらに、JASRACへの届出を代行して著作権使用料を受け取れる著作権管理サービスも、登録自体は無料です(著作権使用料から手数料15%が差し引かれます)。
narasuのデメリット・注意点
申し込む前に、次の点も確認しておきましょう。
- 還元率は90%で、売上の100%を還元するサービスと比べると取り分は少なくなります
- サブスクプランは最低契約期間1年。1年未満で解約すると解約料1,320円がかかります
- サブスクプランを解約すると、契約期間中に登録した楽曲は全配信ストアで配信停止になります
- 配信審査の依頼後は、ジャケットや楽曲ファイルを含めてリリース情報を修正できません
- 配信停止は原則受付不可。やむを得ない場合も問い合わせが必要で、再生回数やプレイリストへの登録はリセットされます
- VOCALOIDなどの音声合成ソフトを使った楽曲は、収益から利用料15%が控除されます(ヤマハ提供のエンジンは控除なし)
特に気をつけたいのが、サブスクプランを解約すると、そのプランで出した曲がすべて配信停止になる点です。払いきりプランで出し直すには、もう一度楽曲を登録する必要があります。また払いきりプランで出した楽曲を配信停止して同じタイトルを再申請する場合も、あらためて料金がかかります。曲名の表記ゆれやジャケットの誤字は申請前に何度も見直しておきましょう。
narasuの評価されやすい点・気になりやすい点(編集部の整理)
公式サイトの情報と配信代行サービスの一般的な仕組みをもとに、編集部が整理した内容です。利用者の感想を集めたものではありません。
評価されやすい点(編集部の整理)
- 月額110円という料金は、配信を試してみたい段階でも負担に感じにくい金額です
- 払いきりプランは更新料が不要で、長期間の費用を見積もりやすい仕組みです
- サブミット・スプリットは追加料金なしで使え、LinkMAPなど配信後の活動を助ける機能もそろっています
気になりやすい点(編集部の整理)
- 還元率が90%のため、収益をできるだけ多く受け取りたい方には差が気になる場合があります
- サブスクプランは月15曲の上限と1年の最低契約期間があり、短期間だけ使いたい方には向きません
- 申請後に修正できない、配信停止が原則できないなど、規定が厳しめに感じられる部分があります
- 収益の受け取りは自分で支払い申請をする方式で、確定レポートは月末締めの翌々月末に報告されます
他社との比較
個人向けの配信代行サービスとして知られるTuneCore Japanと、料金の仕組みを比べてみます。数値はいずれも各社の公式サイトで確認したものです(税込)。
| 項目 | narasu | TuneCore Japan |
|---|---|---|
| 定額プラン | サブスクプラン:月額110円(月15曲まで・最低1年) | Unlimitedプラン:年額4,400円〜(リリース数無制限) |
| 1作ごとのプラン | 1回払いきり:シングル2,860円/アルバム5,500円(更新料なし) | Pay Per Release:シングル年1,551円/アルバム年5,225円 |
| 還元率 | 90% | 100% |
| 配信開始まで | 最短2日 | 最短2日(スタータープランは最短10日) |
| 著作権管理サービス | あり(手数料15%) | あり(手数料15%) |
TuneCore Japanは売上の100%が還元され、配信先も55以上のストアと案内されているため、再生数がある程度見込める方や、収益の取り分を重視する方には強みがあります。一方でnarasuは、定額プランの月額が110円と低く、払いきりプランなら年ごとの更新料がかかりません。
たとえばシングル1曲を3年間配信し続ける場合、利用料だけを単純計算すると、TuneCore JapanのPay Per Releaseは1,551円×3年で4,653円、narasuの払いきりプランは2,860円です。ただし還元率には10%の差があるため、再生数が多くなるほど受け取る収益の差も広がります。初期費用と維持費を抑えたいならnarasu、収益の取り分を重視するならTuneCore Japanというように、自分の状況に合わせて選ぶとよいでしょう。

利用の流れ
narasuのアカウント登録は無料です。配信プランの登録と支払いは、リリースを申請する途中の手順で行います。
- 無料アカウントを登録する:公式サイトの「新規登録」からアカウントを作成します。18歳未満の方は保護者の同意が必要です
- アーティスト情報を登録する:アーティストは1名・1グループ単位で登録します。半角・全角を含め、表記を統一しておきましょう
- 楽曲情報を登録する:シングルかアルバムかを選び、ジャケット画像(3000×3000ピクセル以上の正方形・RGB)、リリース情報、楽曲ファイル(WAV)を登録します
- 配信ストアを選択する:配信エリア(世界または国内)と、ストアごとの配信希望日を設定します
- 配信プランを登録する:サブスクプランか1回払いきりプランを選び、決済情報を登録します
- 審査・配信開始:narasuの審査を経て、結果がメールで届きます。その後、各配信ストアで順次配信が始まります
失敗しない選び方のコツ
初めて1曲を配信してみたい方
まずは1回払いきりプランのシングルで出してみるのも一つの方法です。更新料がかからないため、配信後の費用を気にせずに済みます。続けて出したくなったら、そこでサブスクプランを検討すれば十分です。
毎月のように新曲を出したい方
DTMで定期的に曲を仕上げている方は、サブスクプランが合いやすいでしょう。月15曲までという上限は、個人が継続的にリリースする分には大きな制約になりにくい数字です。ただし最低契約期間が1年あること、解約すると登録済みの曲がすべて配信停止になることは忘れないでください。
バンドやユニットで活動している方
メンバーで収益を分ける予定があるなら、スプリット機能が役立ちます。代表者が役割と分配率を設定し、メンバーが承認すると自動で分配される仕組みです。
収益の取り分を最優先にしたい方
再生数がある程度見込める方は、還元率100%のサービスと利用料・還元率の両方を比べたうえで判断しましょう。
よくある質問(Q&A)
Q. 登録だけなら無料ですか?
A. アカウント登録は無料です。料金が発生するのは、リリースの申請時に配信プランを登録して決済したときです。
Q. カバー曲は配信できますか?
A. カバーやアレンジする楽曲の権利者から正当な許諾を得ていれば配信可能とされています。場合によっては許諾書のコピーなどの提出が必要で、楽曲タイトルのバージョンに「(Cover)」または「(カバー)」の追記も求められます。
Q. 収益はいつ、いくらから受け取れますか?
A. 確定レポートが反映された後に、自分で支払い申請を行います。振り込みは申請した月の翌月末日で、1,000円から引き出せます。振込手数料として一律330円が差し引かれます。
Q. 未成年でも使えますか?
A. 利用規約への同意に加えて保護者の同意があれば、アカウント登録と利用が可能です。
Q. 楽曲ファイルの形式に決まりはありますか?
A. WAV形式・ステレオで、16bitの場合は44.1kHz、24bitの場合は44.1kHz以上が必要です。1曲の長さは10分以内とされています。ハイレゾ音源の入稿にも対応しています。

narasuはこんな方におすすめ
- DTMや弾き語りで作った自作曲を、初めて配信ストアに出してみたい方
- 配信にかかる費用を月額110円程度に抑えて、継続的にリリースしたい方
- 毎年の更新料を気にせず、記念の1曲やアルバムを残しておきたい方
- バンドやユニットで、メンバー間の収益分配を自動化したい方
- スマートフォンだけで配信の手続きを済ませたい方
まとめ
narasuは、月額110円(税込)のサブスクプランと、更新料のかからない1回払いきりプランから選べる音楽配信代行サービスです。還元率はプランに関係なく90%で、最短2日で配信が始まります。サブミットやスプリットは追加料金なしで使え、LinkMAPといった配信後の活動を支える機能も用意されています。
一方で、サブスクプランには1年の最低契約期間と月15曲の上限があり、解約すると登録した曲が配信停止になります。申請後は内容を修正できない点も含め、規定を確認したうえで自分の制作ペースに合うプランを選びましょう。なお配信をしても再生数や収益が約束されるわけではありませんが、自分の曲を世界中の配信ストアに並べられるのは、音楽を学んできた方にとって大きな励みになるはずです。まずは無料のアカウント登録から始めてみてください。
※料金・還元率・配信先などは記事作成時点で公式サイトに掲載されていた情報です。最新の内容は公式サイトで確認してください。



