作曲は特別な才能がなくてもできる
「作曲って才能がないとできないんじゃない?」「楽譜も読めないし、楽器も弾けないし…」そう思って作曲を諦めている方は多いのではないでしょうか。
結論から言うと、作曲に特別な才能は必要ありません。作曲の基本はとてもシンプルで、コード進行の上にメロディを乗せること。それだけです。楽譜が読めなくても、楽器が弾けなくても、パソコンやスマホがあれば今日から作曲を始められます。
この記事では、完全な初心者が最初の1曲を完成させるまでの手順を、ステップバイステップで解説していきます。難しい音楽理論は最小限にして、「手を動かしながら学ぶ」スタイルで進めますので、ぜひ一緒にやってみてください。
作曲を始めるために必要なもの
作曲を始めるのに高額な機材は必要ありません。最低限のものだけ揃えれば、すぐにスタートできます。
DAWソフト:楽曲制作ソフトウェアのこと。「Digital Audio Workstation」の略称。無料で使えるものとして、Mac/iPhoneユーザーならGarageBand、WindowsユーザーならCakewalk by BandLabやBandLab(ブラウザ版)がおすすめ。どれもプロが使うDAWと基本的な仕組みは同じです。
ヘッドホンまたはイヤホン:音を正確に聴くために必要。3,000〜5,000円程度のもので十分です。スピーカーだと部屋の反響で正確な音が聴き取りにくいことがあります。
やる気と30分の時間:最初の1曲は8小節の短い曲でOK。完成させることが何よりも大事です。
あると便利なもの
MIDIキーボード:USBでパソコンに接続して、鍵盤でメロディやコードを入力できる機器。5,000〜15,000円程度。マウスでポチポチ入力するより直感的に音を入力できるので、作業効率が格段に上がります。ただし最初はなくても問題ありません。
音楽理論の基礎知識:コードやスケールの知識があると作曲の幅が広がります。ただし最初から理論を完璧に学ぶ必要はなく、作りながら必要に応じて学んでいくのがベストなアプローチです。

作曲の5ステップ:最初の1曲を完成させる手順
ここからは、実際に1曲を完成させるまでの手順を5つのステップに分けて解説します。順番通りに進めていけば、初心者でも必ず1曲完成できます。
ステップ1:コード進行を決める
作曲の出発点はコード進行です。初心者におすすめの定番コード進行はこちら。
C → G → Am → F(いわゆる「4コード進行」)
J-POPでも洋楽でも使われまくっている王道パターンです。まずはこの4つのコードをDAWに打ち込んでみましょう。各コード4拍ずつで、1ループ(4小節)を作ります。
他にも使いやすい進行として、Am → F → G → C(小室進行)やF → G → Em → Am(王道進行)があります。気分で選んでOKですが、最初は4コード進行が無難です。
ステップ2:テンポとリズムを決める
次に曲のテンポ(BPM:1分あたりの拍数)を決めます。ジャンルごとの目安は以下の通り。
バラード:BPM 70〜90
ミディアムテンポのポップス:BPM 100〜120
アップテンポのポップス:BPM 120〜140
ダンスミュージック:BPM 120〜150
迷ったらBPM 120が万能。ほとんどのポップスはこの前後のテンポです。テンポを設定したら、DAWにドラムパターンを入れてみましょう。ドラムが入った瞬間、コードだけの状態と比べて一気に「曲っぽく」なります。DAWに最初から入っているドラムのループ素材を使うのが簡単です。
ステップ3:メロディを作る
コード進行を流しながら、鼻歌でメロディを歌ってみましょう。思いついたメロディはすぐにスマホのボイスメモで録音すること。メロディは思いついた瞬間が一番新鮮で、5分後には忘れていることがよくあります。
コツは、コードの構成音を意識すること。例えばCコード(ド・ミ・ソ)が鳴っているところで、ド・ミ・ソを中心にメロディを作ると自然に馴染みます。ただし最初はそこまで意識しなくてもOK。「なんとなく気持ちいい音」を探す感覚で十分です。
メロディができたらDAWに打ち込みます。「ピアノロール」と呼ばれるマス目のような画面で、音符を置いていく感覚。最初はピアノの音色で入力するのがわかりやすいです。
ステップ4:ベースとアレンジを加える
メロディができたら、ベースラインを追加します。ベースはコードのルート音(根音)を弾くだけでOK。Cコードならド、Gコードならソ、Amならラ、Fならファ。これだけで曲の低音がしっかりして、音楽的な厚みが出ます。
さらに余裕があれば、ストリングス(弦楽器)やシンセパッドなどを薄く足していくとアレンジの幅が広がります。ただし最初は欲張らず、ドラム・ベース・コード楽器・メロディの4パートだけで十分です。音を足しすぎるとごちゃごちゃになりがちです。
ステップ5:ミックスして書き出す
最後に各パートの音量バランスを整えます。ボーカル(メロディ)が埋もれないように、ドラムとベースの音量を調整。全体のバランスが整ったら、WAVやMP3で書き出し(エクスポート)すれば1曲完成です。
完璧を目指す必要はまったくありません。最初の1曲は「完成させた」という事実そのものに価値があります。プロのミックスエンジニアでも、ミックスには何時間もかけるもの。初心者が完璧なミックスをする必要はないのです。

おすすめの無料DAWソフト
作曲を始めるにあたって、まずは無料のDAWで十分です。ここでは初心者におすすめの無料DAWを紹介します。
GarageBand(Mac/iPhone/iPad)
Apple製品に無料で付属しているDAW。操作が直感的で、初心者でも迷いにくい設計になっています。音源やループ素材も豊富に内蔵されていて、インストールしたその日から曲作りが始められます。iPhoneだけでも本格的な作曲が可能です。
Cakewalk by BandLab(Windows)
もともと有料だったDAW「SONAR」の後継ソフトが無料化されたもの。無料とは思えないほどの高機能で、プロレベルの制作にも対応できるスペック。Windowsユーザーならまずはこちらがおすすめです。
BandLab(ブラウザ版)
ソフトのインストール不要で、ブラウザ上で作曲できるツール。Googleアカウントでログインするだけですぐに使い始められます。OSを問わず使えるのがメリット。
初心者がやりがちな失敗と対策
完璧を目指しすぎる:「もっと良くしよう」と修正を繰り返して、いつまでも完成しないパターン。最初は8小節でいいから、とにかく「完成」させましょう。完成してから改善すればいいのです。
音楽理論を先に勉強しすぎる:理論書を読み込んでから作曲しようとする方がいますが、理論は作りながら覚えるのが圧倒的に効率的。座学だけでは身につきません。
プロの曲と比較する:プロの楽曲はプロの作曲家が作り、プロのアレンジャーがアレンジし、プロのエンジニアがミックス・マスタリングしています。初心者が同じクオリティを目指す必要は全くありません。
最初から有料ソフトを買う:「形から入りたい」気持ちはわかりますが、無料DAWで十分すぎるほどのことができます。有料ソフトは作曲に慣れて「もっとこういうことがしたい」と具体的な不満が出てからで遅くありません。
作曲スキルを伸ばすためのコツ
作曲スキルを伸ばす唯一の方法は、とにかく量を作ること。10曲作れば確実に1曲目より上手くなっています。30曲作れば自分なりのスタイルが見えてくる。クオリティは後からついてくるので、まずは数をこなすことを意識してください。
好きな曲を分析する
好きな曲を聴くときに「なぜこの曲は良いと感じるのか」を考える習慣をつけましょう。コード進行は何を使っているのか、メロディの動きはどうなっているのか、どんな楽器が使われているのか。分析力が上がると、それが自分の作曲に直接フィードバックされます。
耳コピに挑戦する
好きな曲のメロディやコード進行を聴き取ってDAWに打ち込む「耳コピ」は、音感とDAWの操作スキルを同時に鍛えられるトレーニング。最初は難しいですが、続けると驚くほど耳が良くなります。
作った曲を人に聴いてもらう
家族や友人に聴いてもらったり、SoundCloudやYouTubeにアップしたりして、フィードバックをもらいましょう。人に聴かれる前提で作ると、クオリティに対する意識も自然と上がります。

よくある質問
Q. 楽器が弾けなくても作曲できる?
できます。DAWの「ピアノロール」画面でマウスを使って音符を配置していけば、楽器が弾けなくても曲を作れます。実は現代のプロの作曲家でも、楽器を使わずにマウス入力だけで作曲する方は少なくありません。
Q. 無料のDAWでもちゃんとした曲は作れる?
作れます。GarageBandやCakewalk by BandLabは無料とは思えないほど高機能です。世界的なヒット曲がGarageBandで制作されたケースもあります。最初から有料ソフトを買う必要はまったくありません。
Q. 作曲と編曲の違いは?
作曲はメロディとコード進行を作ること。編曲(アレンジ)はそれに楽器のパートやリズムを加えて、曲全体の完成形を作ること。実際のDTM(デスクトップミュージック)では、作曲と編曲を同時に行うことがほとんどです。
Q. 作曲を体系的に学びたい場合は?
オンラインで学ぶならUdemyのDTM講座がコスパに優れています。セール時には1,500〜2,000円程度で受講できることも。無料で学ぶならSleepfreaksのDTM入門記事が体系的でわかりやすいです。実際に講師から教わりたいなら、島村楽器の店舗でDTMの体験レッスンも受けられます。
まとめ:まずはDAWを開いて4コードを打ち込んでみよう
作曲の第一歩は、DAWを起動してC → G → Am → Fのコードを打ち込むこと。そこにドラムパターンを加えて、鼻歌でメロディを乗せれば、もうそれは立派な「作曲」です。
完璧を目指す必要はありません。8小節でいいから、まずは1曲完成させてみてください。その体験が、次の曲を作りたいというモチベーションにつながっていきます。作曲は才能ではなく、慣れです。今日から始めましょう。


