バイオリンを習い始めてしばらく経つと、多くの人がぶつかる壁がある。それがポジション移動だ。ファーストポジションだけでは弾ける音域に限界があり、レパートリーを広げるにはポジション移動の習得が欠かせません。
「音程がずれてしまう」「移動するたびに音が途切れる」という悩みは、正しい練習法を知っていれば着実に改善できます。この記事ではバイオリンのポジション移動の基本から、スムーズに移動するためのコツ、効果的な練習メニューまで詳しく解説していきます。

🎻 音を作ってるのは、実は弓のほう
バイオリンは本体だけでは音が鳴りません。弓がなければ弦を鳴らせず、松脂を塗らなければ弓は滑るだけです。そろえる物が多い楽器だからこそ、先に全体像をつかんでおくと無駄な出費を防げます。

🐼 音楽人ならDTMは必須!!
DTM・作曲を現役プロからマンツーマンで学べるオンラインスクール

- ✅ オンラインで受講できるDTMスクール
- ✅ 現役プロによるマンツーマンレッスン
- ✅ 作曲・MIX・ボカロ制作からSNS発信まで
⭐おすすめ記事
音楽人ならDTMは必須!!DTMや作曲をプロから学びたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。



バイオリンのポジションとは?基本を押さえよう
バイオリンにはフレットがないため、左手の位置(ポジション)を変えることで音域を広げる仕組みになっています。ファーストポジション(第1ポジション)が最も基本的な位置で、ここから徐々にサードポジション(第3ポジション)、さらに高いポジションへと手を移動させていきます。
ポジションの種類と音域の関係
バイオリンのポジションは主に1st〜7thまであり、それぞれ半音ずつ高い位置に手を移動させます。ポジションが上がるほどネックの上(駒寄り)に手が移動し、高い音が出せるようになります。
- 1stポジション:最も基本。初心者が最初に学ぶ位置
- 3rdポジション:1stの次に学ぶことが多い。音域が広がる
- 5thポジション以上:中〜上級者向け。高音域の演奏に必要
クラシックの名曲を弾きこなすには、少なくとも3rdポジションまでの移動は必須です。さらにコンチェルトやソナタに挑戦するなら、5th以上のポジションも求められます。
ポジション移動がうまくいかない原因
ポジション移動で苦戦する人には、いくつか共通するパターンがあります。まずは自分がどのタイプに当てはまるかチェックしてみましょう。
左手に力が入りすぎている
ポジション移動がうまくいかない最大の原因は、左手の力みです。弦を押さえるときに必要以上の力で握り込んでしまうと、手がネック上をスライドできなくなります。
指だけでなく、親指や手首、さらには肩まで緊張してしまうケースもあります。力みが入ったまま無理にポジションを移動しようとすると、音程が定まらず雑音が出る原因にもなります。
移動先の音程をイメージできていない
ポジション移動は「手の距離感」だけで行うものではありません。移動先の音を頭の中でしっかりイメージしてから動くことが大切です。「次はどの音に行くのか」を耳で先にとらえられていないと、毎回手探り状態になってしまいます。
親指の動きが連動していない
ポジション移動では、押さえる指だけでなく親指も同時に移動する必要があります。指だけ先に動いて親指が取り残されると、手全体のバランスが崩れて正しい位置にたどり着けません。


スムーズなポジション移動のための5つのコツ
ここからは、ポジション移動をスムーズに行うための具体的なコツを5つ紹介します。どれも地味な練習ですが、着実に効果が出るものばかりです。
コツ1:脱力を徹底する
まずは楽器を構えない状態で脱力の感覚をつかみましょう。左手を太ももの上に置き、太ももの上を「第1ポジションの位置」から「第3ポジションの位置」まで撫でるようにスライドさせてみてください。この軽いタッチの感覚こそが、ポジション移動に必要な力加減です。
楽器を持った状態でも、弦を押さえる力は弦が指板に触れる程度の最小限の力で十分です。強く握り込む癖がある人は、意識的に力を抜く練習から始めましょう。
コツ2:ガイド音(捨て音)を使って移動する
ポジション移動の練習では、「ガイド音」を使った練習が非常に効果的です。ガイド音とは、移動の途中で意図的に鳴らすスライド音のこと。最終的には本番で聞こえないくらい小さくしますが、練習段階ではあえて大きく鳴らして移動の軌道を確認します。
ガイド音を使った練習手順
- 移動元の音をしっかり鳴らす
- 弓を軽く当てたまま、指をスライドさせる
- スライド音(グリッサンド)をはっきり鳴らす
- 移動先の音でぴたっと止まる
- 慣れてきたらスライド音を徐々に小さくしていく
コツ3:補助音符を設定して音程を安定させる
楽譜に書かれていない「補助音符」を自分で設定するのも有効なテクニックです。例えば1stポジションから3rdポジションに移動するとき、移動途中の2ndポジションの音を心の中で鳴らしてから目的の音に着地します。
この方法を使うと、移動先の音程が格段に安定しやすくなります。頭の中で「経由地」を設けることで、手の距離感がつかみやすくなるわけです。
コツ4:移動先の音を事前にイメージする
ポジション移動の前に、「次はどのポジションに行くのか」を意識する習慣をつけましょう。「次は第3ポジション」と頭の中で宣言してから動くと、手が自然と正しい位置を探してくれるようになります。
音叉やチューナーで目標の音を確認し、その音を頭の中で鳴らしてからポジション移動する練習も効果的です。耳が先に目的地を知っている状態を作ることが、正確なポジション移動への近道です。
コツ5:ゆっくりしたテンポから始める
ポジション移動の練習は、ゆっくりのテンポから始めましょう。メトロノームを使い、最初は四分音符=40〜60程度の速さで、一音一音確認しながら移動します。
音程が安定してきたら少しずつテンポを上げていきます。いきなり速いテンポで練習すると、間違った手の形が癖になってしまうので注意が必要です。


具体的な練習メニュー
ここでは、毎日の練習に取り入れたいポジション移動のメニューを紹介します。1日15〜20分程度を目安に取り組んでみてください。
メニュー1:1stから3rdへの基本移動
まずは最もよく使う1stポジションから3rdポジションへの移動から始めます。A線の1指(人差し指)でシの音を出した後、同じ指のまま3rdポジションに移動してレの音を出します。
この練習を各弦で行い、上行(低い音から高い音へ)と下行(高い音から低い音へ)の両方を練習しましょう。
メニュー2:セヴシック Op.8 を活用する
ポジション移動の定番教材として、セヴシック(Sevcik)のOp.8「ポジション移動とその予備練習」が広く使われています。体系的にポジション移動を学べる構成になっており、段階的に難易度が上がっていくため、独学でも取り組みやすい教材です。
メニュー3:スケール練習でポジション移動を組み込む
音階練習(スケール)にポジション移動を組み込む方法もおすすめです。例えばト長調の3オクターブスケールでは、1stポジションから始まり、途中で3rd、5th、7thとポジションを移動しながら高音域まで上がっていきます。
スケール練習は音程感覚の向上にも直結するため、ポジション移動と一石二鳥の効果が期待できます。
ポジション移動で使える教本・参考書
ポジション移動の練習に役立つ教材をいくつか紹介します。自分のレベルに合ったものを選んで活用してみてください。
おすすめの教材
- セヴシック Op.8:ポジション移動に特化した定番教材
- 小野アンナ「バイオリン音階教本」:日本で広く使われている音階教材。ポジション移動を含むスケール練習が充実
- カール・フレッシュ「スケールシステム」:中〜上級者向け。すべての調のスケールでポジション移動を総合的に鍛えられる
教本は1冊に絞って繰り返し取り組むのが効果的です。あれこれ手を出すよりも、1つの教材をしっかりやり込む方が上達のスピードは速くなります。
🔇 練習できない理由の多くは、音
楽器が続かなかった理由を聞くと、才能でも根気でもなく「音を出せる時間が取れなかった」という答えが返ってきます。防音マットは完全な遮音にはなりませんが、床に伝わる振動を抑える効果が期待できます。気兼ねなく音を出せる時間を増やすところから始めてみませんか。



⭐おすすめ記事
DTMスクールを検討している方は、料金やコースをまとめたこちらの記事もどうぞ。



ポジション移動の練習でやりがちなNG行動
練習の効率を下げてしまうNG行動も押さえておきましょう。
NG1:目で指を追ってしまう
ポジション移動のとき、つい左手を見てしまう人がいます。しかし目で確認する癖がつくと、いつまでも「感覚」が育ちません。練習のときからなるべく目を使わず、耳と手の感覚だけで移動できるように意識しましょう。
NG2:移動の途中で弓を止める
ポジション移動に集中するあまり、右手(弓)が止まってしまう人もいます。本来、ポジション移動中も弓は動き続けているべきです。弓を止めると音が途切れてしまい、フレーズが不自然になります。
NG3:高いポジションばかり練習する
ポジション移動の練習では、高い方だけでなく「戻る」練習も同じくらい重要です。上行だけでなく下行の移動も丁寧に練習しましょう。実際の演奏では上がったり下がったりを繰り返すため、どちらも同じ精度で移動できる必要があります。
レッスンで教わるメリット
ポジション移動は独学でも練習できますが、先生に見てもらうことで上達スピードが大きく変わります。特に以下のポイントは、第三者の目がないと気づきにくい部分です。
- 左手のフォームの崩れ
- 親指の位置のずれ
- 肩や腕の無駄な力み
- 弓と左手の連動のタイミング
バイオリン教室の体験レッスンを利用すれば、自分のポジション移動の課題をプロの目で診断してもらえます。独学で行き詰まっている人は、一度試してみる価値があります。
バイオリン教室の費用感については、バイオリン教室の費用相場まとめの記事で詳しくまとめています。
独学でポジション移動を練習する場合、間違ったフォームが癖になると後から修正するのが大変です。定期的にプロのチェックを受けることをおすすめします。
よくある質問(Q&A)
Q. ポジション移動は何ヶ月で慣れる?
個人差はありますが、毎日15分程度のポジション移動練習を続ければ、3〜6ヶ月ほどで1stから3rdへの移動はスムーズになってきます。高いポジションへの移動や速いパッセージでの移動には、さらに半年〜1年程度かかることが多いです。
Q. 3rdポジションの次は何を練習すべき?
一般的には3rdポジションの次に2ndポジションを学ぶケースが多いです。2ndポジションは1stと3rdの中間にあるため、距離感がつかみにくく意外と難しいポジションです。その後、5th、4thと広げていくのが標準的な学習順序になります。
Q. ビブラートとポジション移動は同時に練習してもいい?
ポジション移動がある程度安定してからビブラートに取り組む方がおすすめです。同時に練習すると、どちらも中途半端になりやすいです。ただし、すでにビブラートをある程度習得している人であれば、ポジション移動の練習中に軽くビブラートをかける練習を組み合わせても問題ありません。
Q. 肩当ての位置もポジション移動に影響する?
はい、影響します。肩当ての高さや角度が合っていないと、高いポジションに移動したときに楽器が不安定になりやすいです。ポジション移動の練習をする前に、肩当てのフィッティングも見直してみてください。


ポジション移動の参考になる外部情報
ポジション移動についてさらに詳しく学びたい方は、以下のリソースも参考にしてみてください。
- EYS音楽教室「バイオリンのポジションとは?」では、各ポジションの詳細と移動のコツが現役講師によって解説されています
- バイオリンのスムーズなポジション移動の仕方でも、具体的な練習法が紹介されています
まとめ
バイオリンのポジション移動は、上達のために避けて通れないステップです。最初はうまくいかなくて当たり前なので、焦らず基本に忠実に練習を重ねていきましょう。
この記事で紹介した5つのコツをおさらいしておきます。
- 脱力を徹底する
- ガイド音(捨て音)を使って移動する
- 補助音符を設定して音程を安定させる
- 移動先の音を事前にイメージする
- ゆっくりしたテンポから始める
独学で練習するのが難しいと感じたら、バイオリン教室で先生のアドバイスをもらうのも一つの方法です。体験レッスンを活用して、自分のフォームや練習方法をチェックしてもらうと、上達への近道が見つかるかもしれません。
📦 この記事で紹介した商品
👉 「セヴシック バイオリン Op.8 教本」を見る
Amazon 楽天
👉 「バイオリン チューナー メトロノーム」を見る
Amazon 楽天
バイオリンの始め方全般についてはバイオリン初心者の始め方ガイドの記事も参考にしてみてください。また、バイオリンの弓の選び方についてはバイオリンの弓の選び方ガイドで詳しく解説しています。
🚪 いっそ、防音室という手もある
本格的に練習時間を確保したいなら、簡易防音室という選択肢もあります。組み立て式で設置できるタイプなら、賃貸でも導入できる場合があります。時間帯を気にせず音を出せる環境は、それだけで練習量を変えます。



⭐おすすめ記事
最後までお読みいただきありがとうございます。DTMを本格的に学びたい方は、こちらの記事もぜひご覧ください。



🐼 音楽人ならDTMは必須!!
DTM・作曲を現役プロからマンツーマンで学べるオンラインスクール

- ✅ オンラインで受講できるDTMスクール
- ✅ 現役プロによるマンツーマンレッスン
- ✅ 作曲・MIX・ボカロ制作からSNS発信まで


